RJ_外壁塗装_マニュアル

家の外壁に汚れやヒビ割れが目立ち始め、外壁塗装をしたほうが良いのか?と気になっている方、既に複数の業者から見積りをもらってどの業者にしようかと検討している方もいらっしゃることでしょう。

外壁塗装を行うにあたって何からすればよいのか?どんな事に注意すれば良いのか?素人にはわからないことだらけのはずです。

しかし、わからないからといって、業者に言われるがままに外壁塗装を行ってしまっては、想像と違う仕上がりになってしまったり、手抜き工事や不当に高額な費用を要求する悪質業者の被害に遭ってしまったりする可能性もあります。

そのような失敗をしない為に、このページでは、外壁塗装をする時に絶対押さえておきたい大事なポイントをお伝えします。

1.外壁塗装の塗料の種類と特徴

外壁塗装を行うときに使用する塗料は原料に使われる樹脂や、添加剤の違いにより、耐候性や備えた機能が異なる沢山の種類の塗料があります。この章では塗料にはどのような種類や特徴があるのか、そしてそれぞれの塗料がどのような場合に向いているのかを解説します。

1−1.シリコン塗料の特徴

シリコン塗料は、価格と性能のバランスが良く、現在外壁塗装で使用される塗料の中で最も主流の塗料です。

1−1−1.シリコン塗料の特徴

シリコン塗料はシリコン樹脂を原料とした塗料です。鉱石やガラスなどの無機物と同じ成分で、結合する力が非常に強いケイ素原子(Si)と酸素原子(O)によるシロキサン結合によって優れた耐候性・低汚染性を発揮します。

塗料の膜である塗膜が親水性を備えているものもあります。親水性とは水と馴染みやすい性質のことで、車の排ガスなどの油汚れが一体化しないため、長期に渡って建物のきれいな状態を保持することができます。

親水性

水となじみやすいとなぜ汚れが付きにくいのかというと、排ガスなどの外壁に付く汚れの成分は親油性の汚れであるため、水と油が互いに弾き合うように、親水性のものと油分の汚れがなじみにくいという性質があるからです。

シリコン塗料のメリット

・耐候性が高く長持ちする

・低汚染性で汚れが付きにくい

・性能に対して価格のバランスが良く、コストパフォーマンスが高い

1−1−2.シリコン塗料の耐用年数は7〜10年

一般的なシリコン塗料の耐用年数は約7~10年です。ウレタン塗料やアクリル塗料より高いですが、フッ素塗料や(変性)無機塗料と比較すると劣ります。

しかし、中には約15年とフッ素塗料並みの耐用年数を誇る高耐久シリコン塗料もあります。

1−1−3.シリコン塗料の費用

1㎡あたりの施工単価(材料代含む)

2,000~3,500円

※使用する塗料や業者、塗装箇所の状態によって異なります。

1−1−4.シリコン塗料の製品

外壁用

製品名メーカー特徴
ファインシリコンフレッシュ日本ペイントシロキサン結合による高耐候性と、特殊セラミック成分による超低汚染性と防カビ性に優れる。
クリーンマイルドシリコンエスケー化研セラミック複合により低汚染性、防藻・防カビ、透湿性に優れる。姉妹品として、弾性をもつ弾性クリーンマイルドシリコンもある。
水性セラミシリコンエスケー化研環境に優しく耐久性の高いセラミックシリコン塗料。
超低汚染リファイン1000Si-IRアステックペイント期待耐用年数15年程度の高い耐候性、超低汚染性、遮熱性能も持ち合わせる多機能なシリコン塗料。
シリコンフレックスⅡアステックペイント高耐候性、低汚染性などの特徴を持ち、価格も比較的安価でコストパフォーマンスが高い。
ナノコンポジットW水谷ペイントナノテクノロジーで低汚染性、低変色性、耐炎性などの機能に優れる。

屋根用

製品名メーカー特徴
サーモアイSi日本ペイント屋根用遮熱塗料。下塗り材にも遮熱効果を持つものを採用し、安定した品質と使用実績も多い。
ファインシリコンベスト日本ペイントスレート屋根(カラーベスト)用塗料。弱溶剤系塗料なので、劣化の激しい下地にも浸透し補強します。
クールタイトSiエスケー化研特殊アクリルシリコン樹脂の採用により、汚れが付きにくく遮熱機能を長く継続させる。
ヤネフレッシュSiエスケー化研コロニアルやカラーベスト、トタン屋根(対象は弱溶剤形)の塗り替え用として開発された耐久性の高い屋根用塗料
スーパーシャネツサーモSiアステックペイント特殊無機顔料の使用により高い遮熱効果を実現。色あせしにくく、美観を長期間保持する。
シリコンフレックスJYアステックペイント耐汚染性のあるセラミックが配合することにより帯電しにくく、親水性に優れた塗膜を形成し、高い低汚染性を備えている。

人気No.1!シリコン塗料の特徴やメリットを完全解説

1−2.フッ素塗料の特徴

フッ素塗料は蛍石を原料としたフッ素を配合した塗料です。非常に耐久性の高い塗料で短期スパンでの外壁塗装が難しい大型商業施設などにも使用されています。

1−2−1.フッ素塗料の特徴

フッ素樹脂は炭素原子にフッ素原子が強力に結合しているため、他の樹脂を使用した塗料よりも耐候性が優れています。

フッ素塗料には「非粘着性(汚れを弾く)」「耐薬品性(酸性雨に強い)」「低摩擦性(汚れが滑り落ちやすい)」「耐候性(紫外線に強い)」などの特徴があります。フッ素を使用した製品で身近なものに、フッ素加工したフライパン、フッ素を配合した歯磨き粉などがありますが、これらはフッ素がもつ高耐久性、高耐熱性、非粘着性を利用したものです。

1−2−2.フッ素塗料の耐用年数は約15年

一般的なフッ素塗料の耐久年数は約15年です。耐用年数が非常に長く、長期間にわたって変退色、艶引けが起きにくいです。

1−2−3.フッ素塗料の費用

1㎡あたりの施工単価(材料代含む)

3,000~5,000円

※使用する塗料や業者、塗装箇所の状態によって異なります。

1−2−4.フッ素塗料の製品

外壁用

製品名メーカー特徴
ファイン4Fセラミック日本ペイント従来の3フッ化塩化エチレンよりも耐候性に優れた4フッ化エチレンを主成分としたフッ素塗料。
クリーンマイルドフッソエスケー化研セラミック複合の特殊技術で超低汚染性・耐候性・防カビ・幅広い下地適用性。
ルミステージAGCコーテック旭硝子のフッ素樹脂「ルミフロン」をベースに使用したフッ素塗料。
超低汚染リファイン1000MF-IRアステックペイントフッ素+無機成分を配合したことにより従来のフッ素塗料を凌ぐ「超耐候性」を有する。

屋根用

製品名メーカー特徴
1液ファイン4Fルーフ日本ペイント4フッ化フッ素樹脂により、すぐれた耐候性、高い光沢感、施工に便利な1液タイプの屋根用フッ素塗料。
サーモアイ4F日本ペイント遮熱塗料サーモアイシリーズ中で最も耐候性、光沢保持性に優れる。
クールタイトFエスケー化研強靭で優れた耐薬品性、耐侯性、耐久性、優れた遮熱性能を実現した超耐久型ふっ素樹脂系屋根用遮熱塗料。
ヤネフレッシュFエスケー化研コロニアルやカラーベスト、トタン屋根の塗り替え用として開発された、耐久性の高い屋根用塗料 。水性タイプの水性ヤネフレッシュフッソもあり。
スーパーシャネツサーモFアステックペイント「JIS K 5600」促進耐候性5000時間クリアー。耐候性と遮熱性を持ち合わせた高機能の屋根用フッ素樹脂塗料。

フッ素塗料で塗装する前に必ず知っておくべき4つのポイント

1−3.無機塗料の特徴

無機塗料(変性無機塗料)は、セラミックやケイ素などの無機物を主成分とした塗料です。寿命が長く、他の樹脂の塗料と比較しても高い耐候性を誇ります。

1−3−1.無機塗料の特徴

石油などの有機物(炭素を含むもの)から成る樹脂を使用した塗料は有機塗料に分類され、一般的な塗料のほとんどがこの有機塗料で、幅広い種類の塗料が存在します。

一方で、無機塗料は鉱物などの自然物(無機物:炭素を含まないもの)を主成分とした樹脂を使用した塗料です。無機塗料は約15年〜という高い耐候性・低汚染性を備えており、無機塗料で外壁を塗装することで紫外線を浴びても劣化しにくい塗膜を形成することができます。

しかし、無機成分だけでは、建築用塗料(塗膜)としては硬すぎるため、わずかですが有機成分を含有する変性無機塗料としています。

1−3−2.無機塗料の耐用年数は約15年

無機塗料の耐用年数は他の樹脂と比べても高く、約15年です。無機物は紫外線などにさらされても劣化が起こりにくいという性質を持っており、この性質を塗料に取り入れたことで高い耐候性を実現。製品によってはフッ素塗料を凌ぐ耐候性を有します。

1−3−3.無機塗料の費用

1㎡あたりの施工単価(材料代含む)

4,000~5,500円

※使用する塗料や業者、塗装箇所の状態によって異なります。

1−3−4.無機塗料の製品

外壁用

製品名メーカー特徴
アプラウドシェラスターNEO日本ペイントフッ素塗料を超える耐候性、美観を維持する低汚染性、有機を併せ持つことで柔軟性を有する。
KFワールドセラシリーズKFケミカル独自の樹脂合成技術から有機塗料並みのフレキシブル性と、強固な塗膜の両立を実現。
無機ハイブリッドクリヤーJYアステックペイント超耐候性を誇るサイディング用クリヤー塗料。耐汚染性にも優れ、長期間美観を保持。
タテイルアルファプレマテックス紫外線劣化に強いオルガノポリシロキサンを成分とし、耐候性とフレキシブル性を両立した無機塗料。

屋根用

製品名メーカー特徴
無機ハイブリッドコートJY-IRアステックペイント超耐候性を実現した無機ハイブリッド塗料に遮熱機能を加えた、屋根の表面や室内温度の上昇を抑制する遮熱塗料。

無機塗料は耐候性が高い?無機塗料のメリットとデメリット

1−4.光触媒塗料の特徴

光触媒塗料は、汚れを雨水で洗い流すセルフクリーニング機能を持った塗料です。

1−4−1.光触媒塗料の特徴

光触媒塗料は太陽光によって化学反応を起こし、汚れを分解したり、洗い流したりする機能を持った塗料です。

光触媒塗料に含まれている酸化チタンは太陽光(紫外線)に反応することで、活性酸素を発生させます。この働きにより外壁に付着した汚れを分解し、さらに水に馴染みやすい親水性も持つため、雨があたることで汚れを洗い流します。

1−4−2.光触媒塗料の耐用年数は約20年

光触媒塗料の耐用年数は非常に長く、メーカーは約20年と発表しています。ただし、光触媒塗料は施工が難しいと言われており、施工技術の高い職人が施工しないと本来の機能を発揮しない恐れもあります。

1−4−3.光触媒塗料の費用

光触媒塗料は他の塗料と比較すると最も高額な塗料です。

1㎡あたりの施工単価(材料代含む)

5,000円~

※使用する塗料や業者、塗装箇所の状態によって異なります。

1−4−4.光触媒塗料の製品

外壁用

製品名メーカー特徴
ピュアコートピアレックス・テクノロジーズフッ素樹脂ベースの光触媒塗料。UVカット機能も有するため色あせや耐久性も高い。
NU-COAT AP OUT-1ニュートラルアパタイトの吸着性により夜でも効果を高める。淡色用の施工に適した光触媒トップコート剤。
SICコーティングスシックコートアパタイトを被覆した二酸化チタン可視光応答型のハイブリッド光触媒コート。

光触媒塗料で外壁塗装する時に理解しておきたいメリットとデメリット

1−5.ピュアアクリル塗料の特徴

ピュアアクリル塗料は、アクリルの性能を最大限に引き出した「ピュアアクリル樹脂」を使用した塗料です。

1−5−1.ピュアアクリル塗料の特徴

「アクリル樹脂」というと、耐候性が低いイメージがあるかもしれませんが、耐候性の低いアクリル塗料は安価なアクリルを使用し、シリコンやフッ素などを組み合わせて性能を向上させているため、アクリル本来の性能が十分に発揮できていないためです。本来のアクリル樹脂は、透明度が高く、飛行機の窓や水族館の大型水槽に使用されるほど耐久性の高い素材です。ピュアアクリルはアクリルの持つ性能を最大限に発揮させることでフッ素塗料と同等の耐候性を実現しています。

1−5−2.ピュアアクリル塗料の耐用年数は約15年

ピュアアクリル塗料はフッ素塗料に匹敵する約15年の耐候性を持ち、外壁塗装後の光沢を長期間保持します。ピュアアクリル樹脂の分子量は、一般的なアクリル樹脂の約50~100倍大きいのが特徴です。そのため紫外線により破壊される樹脂破壊ポイントが少なくなり、一般的なアクリルより高い耐候性を保持できるのです。

1−5−3.ピュアアクリル塗料の費用

1㎡あたりの施工単価(材料代含む)

5,000円~

※使用する塗料や業者、塗装箇所の状態によって異なります。

1−5−4.ピュアアクリル塗料の製品

外壁用

製品名メーカー特徴
EC-5000PCMアステックペイント

耐候性を更に高めるために有機ガラス成分をブレンド。可塑剤を使用せず樹脂そのものが弾性をもつため長期にわたって弾性を維持。伸長性によって高い防水性を発揮する。

EC-5000PCM-IRアステックペイントEC-5000PCMの優れた防水性・耐候性に加え、遮熱効果を持つ。ナノセラミック粒子により、太陽光に含まれる近赤外線を反射し、外壁の蓄熱を軽減。

屋根用

製品名メーカー特徴
EC-100PCMアステックペイント

優れた防水性、遮熱性、耐候性を有する工場・倉庫向けの屋根用塗料。雨漏りや室内温度の上昇を抑制する高機能塗料。

1−6.遮熱塗料の特徴

遮熱塗料とは太陽光のうち赤外線の中の特に熱源となる近赤外線を「反射」や「放射」させ、表面温度の上昇を抑制することが期待できる塗料です。

1−6−1.遮熱塗料の特徴

遮熱塗料は近赤外線を効率よく反射することで、屋内への熱の侵入、蓄熱を抑制し、表面温度の上昇を抑制することができる塗料で高日射反射率塗料とも呼ばれます。

夏に室内が暑くなるのは、屋根や壁から室内に熱が伝わることが原因です。特に屋根は昼間の表面温度が60℃にもなることがあり、天井を通り抜け2階の居室へ伝わった熱が、室内温度を上昇させて暑苦しい室内環境になってしまうのです。

屋根に遮熱塗料を塗装すると温度上昇を抑えるため、室内環境の向上が期待できます。室内温度の抑制を抑えることによって、エアコンなどの光熱費の削減、二酸化炭素の排出の削減にもつながり、地球環境の面でも有効です。

より効果を上げるためのポイント

白色に近いほど日射反射率が高いため、遮熱塗料の効果を上げたい場合は白色に近い色を選ぶことが有効です。また、遮熱塗料は汚れてしまうと、汚れが熱を吸収し、遮熱効果が下がってしまうため、汚れにくい塗料であることが重要です。

1−6−2.遮熱塗料の耐用年数は約15年

遮熱塗料の耐用年数はベースに使用されている樹脂に依存します。樹脂は【アクリル<ウレタン<シリコン<フッ素<無機フッ素<無機】の順番で耐候性が高くなります。

1−6−3.遮熱塗料の費用

1㎡あたりの施工単価(材料代含む)

3,720円~5,000円

※使用する塗料や業者、塗装箇所の状態によって異なります。

1−6−4.遮熱塗料の製品

製品名メーカー特徴
サーモアイ4F日本ペイント独自の4フッ化フッ素技術によって、長期にわたり遮熱機能を保持することが可能になっています。
アレスクール1液F関西ペイント耐候性に優れ、温度上昇の要因である赤外線を効率よく反射する屋根用の遮熱塗料。1液型のため扱いやすい。
スーパーシャネツサーモFアステックペイント従来のフッ素樹脂塗料をしのぐ最高ランクの耐候性に優れた遮熱性も持ち合わせた超高機能の屋根用フッ素樹脂塗料。
日進産業GAINA(ガイナ)宇宙航空研究開発機構(JAXA)の技術から生み出された断熱性・耐久性に優れた遮熱・断熱塗料。
アドグリーンコート®GL日本中央研究所排熱にこだわって開発された冷めやすい塗料。環境・省エネに配慮した遮熱・断熱塗料。

1−7.防水塗料の特徴

防水塗料とは、高い弾性を持ち、ひび割れに追随することで、水の浸入を防ぐ「弾性塗料」を指します。

1-7-1.防水塗料の特徴

「防水塗料」という言葉は特定の塗料の種類やカテゴリーを指す名称ではなく、防水性が高い「弾性塗料」が「防水塗料」と呼ばれています。ゴムのように弾性があり、伸びるため、外壁にひび割れが発生した場合にヒビに塗膜が追随することで、ひび割れからの水の浸入を防止することができます。特にヒビが発生しやすいモルタル下地の外壁などに適しています。

1-7-2.防水塗料の耐用年数は約15年

防水塗料の耐用年数は防水塗料の代表的な製品であるアステックペイントのEC-5000PCMが約15年です。

1-7-3.防水塗料の費用

1㎡あたりの施工単価(材料代含む)

3,000円~5,500円

※使用する塗料や業者、塗装箇所の状態によって異なります。

1-7-4.防水塗料の製品

外壁用

製品名メーカー特徴
EC-5000PCMアステックペイント

住宅を長期に渡って保護する高機能外壁用塗料。ピュアアクリル樹脂を使用し、高い耐候性を有し優れた伸縮性により防水効果も抜群。

EC-5000PCM-IRアステックペイントEC-5000PCMの優れた防水性・耐候性に加え、遮熱効果を持ち、アステックペイントの中でも最高ランクの機能性を持った塗料。
DANシリコンセラ日本ペイント水性1液型弾性塗料。単層弾性塗料で塗膜に厚みが出て高い防水性能を発揮。
シリコンテックス関西ペイント単層弾性塗料に水性アクリルシリコン樹脂を含有させる事によって高い耐候性を持つ。
セラミクリーンエスケー化研独自の弾性セラミックシリコン樹脂を使用しており、低汚染性・高耐久性を有している。

屋根用

製品名メーカー特徴
EC-100PCMアステックペイント

優れた防水性、遮熱性、耐候性を有する工場・倉庫向けの屋根用塗料。雨漏りや室内温度の上昇を防ぐ高機能塗料。

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1−8.低汚染塗料の特徴

低汚染塗料とは、汚れにくく、汚れが付着しても雨によって洗い流す機能を持った塗料です。

1-8-1.低汚染塗料の特徴

低汚染塗料は汚れを自ら綺麗にする、セルフクリーニング機能を有しており、美観が長く続くためメンテナンス性が高い塗料です。低汚染塗料が汚れにくいメカニズムにおいては、低汚染塗料が持つ「親水性」が重要な役割を果たします。親水性とは、水と馴染みやすい性質のことです。水と油が弾きあうように、親水性が高いことによって油分である排ガスなどの汚れを弾き、雨水で洗い流すことができるのです。

1-8-2.低汚染塗料の耐用年数は約10年~20年

低汚染塗料の耐候性は使用されている樹脂に依存します。低汚染塗料にはシリコン、フッ素、無機などの樹脂が使用されており、なかでもアステックペイントの超低汚染リファイン1000MF-IRは無機成分を配合した低汚染塗料で、20年以上の耐候性を有しています。

1-8-3.低汚染塗料の費用

1㎡あたりの施工単価(材料代含む)

2,000円~5,000円

※使用する塗料や業者、塗装箇所の状態によって異なります。

1-8-4.低汚染塗料の製品

外壁用

製品名メーカー特徴
ファインシリコンフレッシュ日本ペイントシロキサン結合による高耐候性と、特殊セラミック成分による超低汚染性と防カビ性に優れる。
クリーンマイルドシリコンエスケー化研独自のセラミック複合技術(低帯電性・高い架橋密度・親水性)により超低汚染性を実現。
超低汚染リファイン1000Si-IRアステックペイント期待耐用年数15年程度の高い耐候性と遮熱性能も持ち合わせる多機能なシリコン塗料。

屋根用

製品名メーカー特徴
超低汚染リファイン500MF-IRアステックペイント建物の美観を保持する「美観保持機能」に優れた屋根用塗料。無機成分を配合したことにより従来のフッ素塗料を凌ぐ「超耐候性」を併せ持つ。

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1−9.ラジカル塗料の特徴

ラジカル塗料とは、正確には「ラジカル制御型の酸化チタンを使用した塗料」のことです。

1-9-1.ラジカル塗料の特徴

ラジカルとは、「樹脂や顔料の有機物を劣化させるエネルギー」と言い換えることができます。ラジカルは、塗料を調色(色を作る作業)する時に使う酸化チタン(白色顔料)に太陽光の紫外線が当たることで発生するエネルギーです。発生したラジカルは、塗料の樹脂や有機顔料にダメージを与えてしまい、劣化を促進させてしまいます。そこで登場するのが酸化チタンの表層に発生したラジカルを閉じ込めるためのバリアー層がある「ラジカル制御型酸化チタン」です。さらに、塗料の耐候性を高めるために光安定剤(HALS)を使用し、塗料の耐候性を延ばしています。ラジカル塗料は登場してまだ5年程度で、実績は多くありません。

1-9-2.ラジカル塗料の耐用年数は約15年

上記で紹介した機能性塗料と同様に耐候性は使用される樹脂に依存します。

1-9-3.ラジカル塗料の費用

1㎡あたりの施工単価(材料代含む)

1,800~2,800円

※使用する塗料や業者、塗装箇所の状態によって異なります。

1-9-4.ラジカル塗料の製品

外壁用

製品名メーカー特徴
パーフェクトトップ日本ペイント 「ラジカル制御」技術により、シリコングレードを超える非常にすぐれた耐久性がある。
エスケープレミアムシリコンエスケー化研緻密なハイブリッドシリコン樹脂によって汚れにくく、微生物汚染も防ぐ。
アレスダイナミックTOP関西ペイント塗膜劣化の原因物質であるラジカルの発生を抑え、樹脂性能を最大限に引き出した塗料。
超低汚染リファイン1000Si-IRアステックペイント塗膜の密度が高く親水性が高いため汚れが定着しにくく長期間美観を保持する。

屋根用

製品名メーカー特徴
ファインパーフェクトベスト日本ペイント 高耐候性で作業性に優れ、防藻・防カビ性の発生を抑えて建物の美観を維持する。
パーフェクトクーラーベスト日本ペイント 高い遮熱性能を発揮する、パーフェクトシリーズの屋根用遮熱塗料。
超低汚染リファイン500Si-IRアステックペイント 2液型アクリルシリコン樹脂の採用により、高い耐候性を持ち合わせる。
スーパーシャネツサーモSiアステックペイント 特殊無機顔料の使用により高い遮熱性を実現。色あせしにくく、美観を長期間保持する。

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2.外壁塗装の価格・費用相場

外壁塗装を使用と思った時に、気になるのは費用ではないでしょうか。この章では塗料の価格や外壁塗装の費用相場をお伝えいたします。

2−1.塗装の価格を決める要素

外壁塗装の価格の内訳

外壁塗装の価格を決める要素は大きく「塗料代」「施工費(人件費)」「足場代」「利益」です。

2−2.塗料の種類別の相場価格

塗料耐久年数相場価格 ※1缶あたり
アクリル約3~5年5,000~15,000円
ウレタン約5~7年5,000~20,000円
シリコン約7~10年15,000~40,000円
ピュアアクリル約15年~50,000~70,000円
フッ素約15年~40,000~100,000円
無機約15年~50,000~120,000円
光触媒約15年~50,000~100,000円

1章でも紹介しましたが、塗料の価格は耐候性が上がる程高くなります。また、遮熱性や断熱性、防カビ性などの付加価値性能を併せ持った塗料は、その分高額になります。

2−3.施工費の相場価格

工事項目相場価格(円)
飛散防止ネット100~200円/㎡
高圧洗浄100~300円/㎡
養生250~400円/㎡
付帯塗装工事軒天800~1,200円/㎡
雨樋800~1,200円/m
破風板 650~1200円/㎡
雨戸2,000~5,000円/枚
シーリング打ち替え900~1,500円/m
シーリング増し打ち500~1,000円/m
諸経費現場管理費1式 30,000~50,000円
廃材処理費等1式 10,000~30,000円

2−4.足場の費用相場

外壁塗装、屋根塗装を行う時には高所での作業になるため、足場を設置する必要があります。

①まず足場架面積(足場を設置する面積のこと)を算出します。

足場架面積=[家の外周+8m]×高さ

②算出した足場架面積をもとに、足場費用を出します。

足場費用=足場架面積×(足場設置費/㎡+飛散防止ネット/㎡)

一般的に足場設置費用は600円~900円/㎡、飛散防止ネットは100円~200円/㎡前後です。二階建て戸建て住宅の場合ですと平均して15万円~20万円ほどが相場です。

2−5.外壁塗装の価格例

外壁塗装は使用する塗料や下地の劣化状況、業者によって設定している人件費や諸費用も異なる為に見積りがバラバラになります。しかし、ある程度の相場はわかります。

坪数アクリル塗料ウレタン塗料シリコン塗料フッ素塗料無機塗料光触媒塗料
20坪30~60万円40~70万円50~80万円60~100万円70~120万円80~130万円
30坪40~70万円50~80万円60~90万円70~110万円80~130万円90~140万円
40坪50~80万円60~90万円70~100万円80~120万円90~140万円100~150万円
50坪60~90万円70~100万円80~110万円90~130万円100~150万円110~160万円
60坪70~100万円80~110万円90~120万円100~140万円110~160万円120~170万円

※価格は地域や業者・下地の補修の可否などによって変動いたします。
※屋根塗装は含まず

2−6.外壁塗装の見積書で見るべきポイント

見積り書の価格が相場より極端高い、または安い場合はなぜ高いのか、なぜ安いのかを業者に説明を求めましょう。さらに見積り額以外で見て欲しいポイントが下記の2つです。

ポイント① 塗料代と施工費(人件費)分けて記載されている

塗料代と施工費(人件費)がいっしょになっている見積書の場合、どんな材料をどれだけ使うのかが曖昧となります。この曖昧さを利用して、本来は必要な塗料の量を間引いて不当に利益を得ようとするなど、なんらかの心ない業者も存在します。

塗料代と施工費(人件費)がいっしょになっている見積書が絶対NGというわけではありませんが、トラブルの元ですので見積書は塗料代と施工費(人件費)を分けて提示してもらうようにしましょう。

ポイント② 購入する塗料の缶数が、メーカーの規定量を満たしている

一般の方には以外と知られていないのが、「塗料の量」にまつわる知識。実は、外壁塗装リフォームで使用する塗料の量には、塗料メーカーが「品質を担保するために、これだけ使ってください」と規定する量があるのです。そのため見積書に記載されている購入する塗料の量が、この塗料メーカー規定量に合致しているかどうかを調べることで、信頼のおける見積書なのかどうかがわかる、ということです。購入する塗料の量が塗料メーカーの規定量に合致しているかどうかは、下記の計算式によって自身で算出して確かめることができます。塗装面積は見積書、塗布量と塗料1缶あたりの重さは塗料のパンフレットを参照してください。

2−7.外壁塗装の価格を抑える方法

見積りは複数の業者に依頼する

たとえ気になる業者があっても、見積りは複数の業者、できれば2~3の業者に依頼するようにしましょう。なぜならば、1つの見積りだけでは、費用の妥当性が判断できないからです。

いくら、おおよその費用相場がわかっていても、やはり、それぞれの住まいのつくりや劣化状況によって費用は変動します。そのため、複数の見積りを比較するというのは、妥当な費用を探るうえでとても重要なことなのです。

また、”競合先があるかどうか”というのは、業者が費用を下げるかどうかの一つの判断基準になることも間違いありません。言ってしまえば、「◎◎という会社と迷っている」という切り札を出すことで、最終的に費用が下がることもあるということです。

外壁塗装を格安でする方法&悪徳業者に騙されないための知識

大手の業者よりも地元の施工店の方が安い傾向

実際の費用は見積りをとってみないことには判断ができませんが、一般的には、大手のハウスメーカーやリフォーム会社よりも、地元の工務店の方が、価格を抑えられる傾向にあります。

大手のハウスメーカーやリフォーム会社は塗装工事を取り扱ってはいても、自社では施工せず、工事自体は協力業者に依頼するという体制をとっていることが少なくありません。そうすると、中間マージンと呼ばれる費用が別途発生するため、直接、施工を手がける地元の工務店よりも費用が高くなりがちです。また、大手のハウスメーカーやリフォーム会社は、使用する塗料や施工方法等をパッケージ化していることも多く、こまかな費用調整が効かないことで割高になるケースもあります。

しかしながら、それでは大手のハウスメーカーやリフォーム会社がオススメできないかというと、そういうことでもありません。保証という面で考えると、やはり大手の方が整っている場合が多いのも、また事実です。価格とメリットのバランスを考えて選択する必要があります。

外壁塗装と屋根塗装は同時にしたほうがお得

“塗装メンテナンスの費用を抑える”という観点で考えるならば、外壁といっしょに屋根も塗装してしまった方がお得です。なぜならば、外壁を塗装するときも、屋根を塗装するときも足場が必要で、その足場自体に大きな違いはないからです。つまり、外壁と屋根をいっしょに塗装すると、一つの足場で、外壁も屋根も塗装ができるのです。

外壁塗装を0円に?!火災保険が適用されるケースも

火災保険に加入している場合、外壁塗装について火災保険の補償が受けられることがあります。適用条件は保険によっても異なるため、正確には加入している保険を確認する必要がありますが、一般的には自然災害や火災などが含まれることが多いようです。

保険は自分から申請しない限り、補償を受けることができません。外壁塗装をする際には、火災保険に加入しているかどうか、また、加入している場合はどのような条件で保険がおりるのか等を確認しておくことをオススメいたします。

火災保険を使って無料で外壁塗装をするために絶対に知っておきたい4つのポイント

2−8.外壁塗装の一括見積りサイトのメリットとデメリット

最近は外壁塗装の価格を一括で複数の業者から見積りが取れるサイトも増えてきています。施主と業者以外の第三者に入ってもらえるのは非常に心強く、手軽に見積りが取れるので人気です。

見積もりサイトのメリットとデメリットをまとめました。

メリット

安い業者を見つけられる

複数の会社に相見積もりをかけるので高いか、安いかの判断はつきます。複数の材料や工賃も出てくる為、価格の調整もし易いでしょう。

断る時の心理的ストレスの軽減

塗装会社にお断りを入れる際に「お断り代行」をしてくれる会社があります。断りづらいという心理的ストレスを軽減できるので非常に嬉しい制度です。

利用料がかからないので金銭的リスクはゼロ

サイトの利用料は施主側にはかからないので金銭的リスク無くサイトを利用できます。

デメリット

一括サイトにバックマージンが入っている

あくまで殆どが広告媒体です。もちろんサイト運営にはお金が掛かりますし、対応するスタッフもつけなければなりません。業者は一括見積りサイト側へ手数料を支払う必要があるため、価格にその分が上乗せされます。

電話が沢山かかってくる場合がある

電話番号を入力するサイトが多く、入力すると電話がかかってきます。記述させて頂きましたが大事な個人情報です。しっかりと個人情報を入力する前には運営母体を確認しましょう。

業者の基準が不明

「プロが厳選した」と書いているサイトも多く見られます。しかし、どのようなプロがどういった観点で選んでいるかは書かれていないサイトも多くあります。

紹介を受ける際はどのような基準でその会社を紹介されたのか担当者に聞いてみる事をオススメします。

 

3.外壁塗装の最適な時期とタイミング

建物の外壁を定期的に塗装することで「建物を長持ちさせることができる」という事がわかっていても、どのタイミングで外壁塗装をすればいいのかわからないとお悩みではないでしょうか。この章では外壁塗装を行う際の最適な時期・タイミングを解説いたします。

3−1.外壁塗装をおこなうタイミングは約7~10年

今日の日本の住宅の外装材の約80%を占めるのが、窯業系サイディングボードです。この窯業系サイディングボード自体には防水性能が無いため、生産時に工場で塗装が施されています。環境条件にもよりますが、この塗装による防水性能が低下してくるのが5年~7年、美観上の耐用年数を光沢保持率が30%以下になる年数と仮定した場合、一般的に普及しているシリコン塗料で約7年で光沢保持率が30%以下に至ります。このため、一般的には外壁塗装は7~10年前後でおこなうと良いとされています。

3−2.外壁塗装に最適な季節

外壁塗装のサイクルのタイミングは約7~10年でしたが、1年の季節の中ではどのタイミングがベストなのでしょうか。結論からいいますと、外壁塗装は1年中どの季節であってもおこなうことが可能です。ただし以下の条件では塗装は行なえません。

・気温が5℃以下のとき

・湿度が85%以上のとき

・雨や雪が降っているとき

・強風のとき

・外壁面が結露していたり霜が降りていたりするとき

これらの条件の時に施工をおこなうと、塗料の乾きが悪かったり、速すぎたり、雨で塗料が流れ落ちたりして不具合が発生する可能性があります。最近では雨の日に施工できる塗料も一部登場しておりますが、基本的には上記の条件時には塗装はおこなえません。

あえて適した季節を挙げるとすれば下記となります。一般的に、塗料の硬化・乾燥に適した気候条件は「気温15~30℃、湿度75%以下」と言われています。そのため、この条件下であれば、塗装工事はスムーズに進むと考えられます。

・東北・関東地方 4月~5月・9月ごろ

・北陸地方 5~6月・9月ごろ

・中部地方 6月・9月ごろ

・関西地方 5月・9月ごろ

・中国・四国地方 5月・9月ごろ

・九州地方 4~6月・9月ごろ

・沖縄地方 1月・3~4月・11月ごろ

※参考データ:気象庁HP2014年度 各地域の気象データより

ですが、上記でも説明したとおり条件を満たしていれば1年中施工は可能です。

外壁塗装にベストな季節を判断するための基礎知識

3−3.外壁塗装をおこなうべき劣化のサイン

上記の年数による目安に加えて劣化の状況によっても塗り替えのタイミングを知ることができます。ここでは外壁塗装が必要な劣化の症状をお伝えいたします。

外壁の色あせ

劣化進行度:低

外壁が当初より色あせをしている場合は塗膜の劣化が始まっているため、緊急ではありませんが外壁塗装を検討したほうがよいでしょう。

チョーキング

劣化進行度:中

外壁を触った時に手に色の付いた粉が手に付く状態です。「チョーキング現象」といいます。この現象も紫外線や直射日光、風雨などが原因となり、塗装の表面が劣化して起きるもので、外壁塗装の目安となります。

塗膜の膨れ・剥離

劣化進行度:高

塗膜の膨れ

外壁の塗装された部分が膨れていたり、剥がれたりしていたら劣化が進行している証拠です。早めのメンテナンスをおすすめいたします。なお、塗装後3年以内に塗膜の膨れが起きている場合には施工不良も疑われます。専門家に調査を依頼されることをオススメします。

クラック(ひび割れ)

劣化進行度:高

構造クラック

クラックの幅が0.3mm未満のものをヘアークラック、0.3mm以上のものを構造クラックと呼びます。構造クラックがある場合には雨漏りに繫がる恐れもあるため、早めのメンテナンスをオススメいたします。

4.下地別の外壁塗装で知っておきたいポイント

外壁の下地には様々な種類があります。現在の日本の住宅の外壁素材別のシェアは下記の図の通りです。

外壁素材別シェア

素材によっておこる劣化や不具合は異なるため、それぞれの下地にあった補修・メンテナンスをおこなうことが大切です。この章では下地別に塗装する時のポイントを解説いたします。

4−1.サイディングの外壁を塗装する時のポイント

4-1-1.サイディングとは

サイディングは、今日の新築戸建て住宅において8割近くのシェアを誇る外壁材です。
多く採用されている理由としては、

①施工の手間がかからず、工期が短い

②品質が安定

③コストが安い

④意匠性が高い

といった理由が挙げられます。

サイディングは素材別で分類すると、窯業系サイディング、金属サイディング、木質製サイディング、樹脂サイディングの4つの種類に大別されます。

サイディング名写真
窯業系サイディング 窯業系サイディング
金属系サイディング 金属サイディング
木質系サイディング 木質系サイディング
樹脂サイディング 樹脂系サイディング

サイディングのなかでも、窯業系サイディングが約70%のシェアを誇っています。

4-1-2.サイディングの劣化症状

窯業系サイディング自体の寿命は30~40年と言われています。ほとんどメンテナンスは必要ないと考えている方もいらっしゃいますが、サイディングよりも先に目地部のシーリング材や、サイディング表面の塗装に劣化が現れます。7~10年周期でメンテナンスが必要となるため、注意が必要です。

劣化部分劣化の症状写真年数(経年数)目安※
塗膜色あせ、光沢低下05-色あせ5年~
シーリング劣化コーキング 破断5年~
チョーキングチョーキング7年~
素地膨れ、剥離image0053塗膜の剥がれ7年~
ひび割れ、腐食13-サビによる腐食が激しいサイディングクラック10年~
反り10-反り10年~

※経年数は、窯業系サイディングを例にしておよその年数を記載しています。置かれている環境によっても異なります。

4-1-3.サイディングの塗装・メンテナンス方法

シーリングの補修

ボードとボードの間のつなぎ目の部分には、必ずシーリング材を充填して(埋めて)いますが、この素材は約5年で劣化し、徐々に固くなりひび割れしていきますので以下の方法で補修する必要があります。

■シーリング工事の費用相場(単価:900~1,500円/m、延床面積30坪の場合)

約2045万円

施工方法
image023古いシーリングを撤去します。カッターで切れ目を入れて、既存のシーリングを撤去します。
バックアップ材やボンドブレーカー等を用いて2面接着にします。
image029壁にシーリング材がつかないよう目地のまわりにマスキングテープを貼り、刷毛でシーリング専用プライマーを塗布します。
image031シーリング材を充填します。
image033充填後ヘラで押さえ、成形してください。最後にマスキングテープを剥がして完成です。

サイディング塗装

サイディングには工場で生産時に塗装が施されています。この塗装の塗膜が経年で劣化していきます。約7年~10年で上記で紹介した劣化症状が起き、塗膜の防水機能が低下しますので、外壁塗装によるメンテナンスが必要です。

■外壁塗装工事の費用相場(シリコン塗料、延床面積30坪の場合)

約70~150万円

施工方法
足場組立・養生
足場解体
足場を組立て、洗浄水や塗料の飛散を防止するシートを掛けて養生する。
洗浄
高圧洗浄
塗料と建材の密着を強くする為、外壁に付着した埃や汚れを落とす。十分に乾燥させる。
※下地の劣化が著しい場合は、下地補修後に洗浄する。
下地補修
シーリング材
外壁のひび割れや劣化したシーリング(コーキング)等の補修を行う。
養生
外壁塗装 養生
窓ガラスや植木・床等、塗料が付かないようにビニールやテープで覆う。
塗装(下塗)
下塗りは、仕上がりの色となる上塗り材と外壁を密着させる接着剤の役割を果たす。
塗装(中塗・上塗)
外壁塗装 中塗り
実際の仕上がりの色の塗料を塗る。塗料の性能を発揮させる為、基準塗布量と乾燥時間を厳守して、2回に分けて塗り重ねる。
足場解体
image073
養生を撤去。足場を解体して完工。

サイディング張替え・重ね張り

サイディングが割れているなど、劣化が激しい場合はサイディングの「張替え」や「重ね張り」をおこなう場合があります。

張替え(部分)

外壁の下地が劣化や破損して雨漏りなどの問題がある場合、張り替えリフォームを行う必要があります。張り替えリフォームは、既存のサイディング外壁を剥がして、下地から張り直すリフォーム方法です。古い断熱材や防水シートを剥がして新しいものに取り替えるため、その分の廃材処理費や取り付け費が発生します。そのため、重ね張りリフォームよりは費用が高くなってしまいます。
費用は200万円~(延床面積120㎡)が相場です。

重ね張り(全面)

現在のサイディング外壁の上に下地材を張り付け、その上に新しいサイディング外壁を重ねて張る方法です。もう一つのリフォーム方法である、張り替えリフォームよりも廃材が出ず、安価に施工することができます。しかし、外壁の躯体に腐食などが起きていない場合にしか、施工できません。
腐食などが起きていない外壁で、サイディングの模様を変えたい、という方におすすめの工法です。費用は150万円~(延床面積120㎡)が相場です。

4-1-4.サイディングにオススメの塗料

塗料選びの際に重要になるのは、「何を重視して塗り替えするのか」という点です。

【コスト面】 コストを重視して、安価な塗料で塗り替える、長期的に見て塗り替え回数を少なくするために、長持ちする高耐候塗料で塗り替える。

【仕上がり面】 高級感のある仕上がりになるのを重視して多彩模様塗料で塗り替える、今のサイディング模様を残したいからクリヤー塗料が良い。

【機能面】 カビの発生や汚れがつきやすいから、汚れにくい塗料で塗り替える。

など「何を重視して」塗料を選ぶか、という点で選択しましょう。

コストを抑えて塗り替えたい方向け「シリコン塗料」

コストを抑えて塗装をしたい方には、「シリコン塗料」をおすすめします。無機塗料やフッ素塗料のような高耐候性を持つ塗料と比較すると、安価でかつ、耐候性も10年程保つ塗料であるため、コストパフォーマンスに優れた塗料であると言えます。

建物内への水の浸入を防ぐ「防水塗料」

外壁のシーリング目地部は温度変化によるサイディングボードの膨張・収縮、車や地震などによる揺れの影響を受けやすい部位です。動きが大きく切れやすくなるため、建物内への水の浸入が起こりやすい部位なのです。そのため、動きに追随する伸長性を持った防水塗料を使用することをおすすめします。

模様を残したまま塗り替える「クリヤー塗料」

お気に入りのサイディングの模様(柄)を残したいという方にオススメの塗料がクリヤー塗料です。クリヤーと、名の付くように、透明な仕上りになるのが特徴で、元のサイディング模様を塗りつぶすことなく仕上げることができます。クリヤー塗装について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください

外壁をクリア塗装する前に知っておきたい基礎知識

汚れやカビの定着を防ぐ「低汚染塗料」

「汚れやカビ・藻が外壁に付着するのはなんとしても避けたい」とお考えの方は多いのではないでしょうか?そんな方におすすめなのが、外壁に汚れがつきにくい「低汚染塗料」です。長期間、外壁を綺麗に保ちたい、白い外壁にするから汚れがつきにくい塗料が良い、という方におすすめの塗料です。

低汚染塗料はなぜ汚れない?実際に低汚染塗料を汚してみた!

4−2.モルタル下地の外壁を塗装する時のポイント

モルタル下地の外壁に細かいひび割れが入っていたのが目立ってきて、補修するべきか?どんな方法があるのか?と疑問をお持ちではありませんか?この章ではモルタル下地の外壁を塗装する時のポイントを解説いたします。

4-2-1.モルタル下地とは

モルタル外壁は、セメントと砂(細骨材)と水を練り混ぜて作る外壁のことです。モルタル自体は美観に欠け、防水性能は低いため、モルタル表面に塗装を行い、防水性を持たせてあります。

一言にモルタル外壁とは言っても、デザインのパターンに数種類あります。

【モルタル下地外壁のデザインの種類とその特徴】

デザインパターンの種類特徴画像
リシン仕上げ粉状に砕いた石に合成樹脂、着色剤などを混ぜたものを吹き付けて仕上げる方法。
表面がざらざらとした仕上がりになる。汚れやすい。
スタッコ仕上げ合成樹脂エマルションなどと骨材を混ぜたものを吹き付けたり、特殊なコテで塗りつけたり、
ローラーを用いて凸部を平らに仕上げる方法。リシンを厚くしたような仕上がりで凹凸が激しい。
リシンと同様に汚れやすい。
吹き付けタイル仕上げツルツルとした仕上がりが特徴の外壁。吹き放し仕上げとベッドカット仕上げがあり、
塗り替える際にはリシン・スタッコと比較して施工しやすく塗料の消費が少なく済む。
左官仕上げ左官職人がコテを使って仕上げたもの。左官職人の高度な技術が必要になる仕上げ方法。
ハンドメイド感のある仕上がりになる。

4-2-2.モルタル下地の劣化症状

補修・塗装工事が必要な劣化症状

モルタル下地外壁の劣化症状は主に次の4つがあげられます。これらの症状が起きている場合は補修、塗装によるメンテナンスを検討しましょう。

症状状態画像
チョーキング外壁を触った際に色のついた粉状のものが付着する状態。塗膜表面の樹脂が紫外線や水により劣化、分解されることにより発生する。遮断性が低下しているサインでもあるため、塗装が必要となる。ただし特別な補修工事などの必要はない。
ヘアークラック幅0.3㎜未満、深さ4㎜以下のひび割れ。建物の構造の腐食や内部の鉄筋がさびるなどの心配はないため、早急に処置する必要はないが、塗装する際には補修工事が必要。
構造クラック幅0.3㎜以上のひび割れのことを指す。このクラックから雨水が浸入し、建物内部への漏水や鉄筋のさびが発生してしまうため、補修が必要となる。
浮き・剥がれ塗装の付着力が低下し、塗装が下地から浮きあがったり、剥がれていたりする状態。割れや剥がれまで進行すると外壁を保護する機能がなくなっている状態。

4-2-3.モルタル下地の塗装・メンテナンス方法

ヘアークラック

弾力がある下塗材をひび割れ内部にすり込み、隙間を塞ぎます。

構造クラック

弾性のある充填剤や塗料を塗り込んで対処します。
ひび割れに沿って外壁をU型(V型)にカットし、その溝内にシーリング材を充填します。

チョーキング

全体的な劣化の症状ですので、外壁塗装を行なう必要があります。

浮きや剥がれ

浮きや剥がれている周囲を可能な限り綺麗に取り除き、清掃します。清掃後、補修を行ないます。
劣化の状態によっては塗膜全体を撤去・復元する必要があります。

補修に関しては、ぜひこちらの記事もご覧ください。

【5分で分かる!】モルタル下地外壁の補修の必要性とその方法

4-2-4.モルタル下地にオススメの塗料

モルタルはひび割れが起きやすいので、モルタル下地外壁の塗装時にはひび割れに追従できる弾性塗料が使用されます。

弾性塗料の例

DANシリコンセラ(日本ペイント)

シリコン樹脂配合の単層弾性塗料です。通常の塗料に比べて、塗膜が厚く付きやすいため、波形模様や凹凸感のある仕上がりになります。防藻・防かび機能があります。

セラミクリーン(エスケー化研)

セラミクリーンは弾性セラミックシリコン樹脂の応用により耐久性を高め、弾性機能を持ちながら汚染しにくい塗膜を実現した単層弾性塗材です。

シリコンテックス(関西ペイント)

シリコンテックスは水性アクリルシリコン樹脂を配合した単層弾性塗料です。耐候性、防カビ、防藻性、低汚染性と防水性の両立した塗料です。

EC-5000PCM(アステックペイント )

約600%の伸長率を持つ高弾性塗料です。アクリル樹脂の不純物を一切排除したピュアアクリル樹脂を使用し、更に耐候性を高めるために有機ガラス成分(ポリカーボネート樹脂)を配合。複層弾性並の性能を持ち、優れた伸長率によって防水効果も高い塗料です。

4−3.鉄部を塗装する時のポイント

外壁塗装・屋根塗装をご検討の方で、業者へ見積りを取られた際に「鉄部 塗装」「付帯塗装(鉄部)」などの記載を見られたことはないでしょうか?外壁塗装・屋根塗装をする際、お見積もりを取ると一緒に門扉や雨戸、手すり、金属製の階段、ポスト、給湯器などの鉄部への塗装も提案されるケースがあります。この章では鉄部を塗装する時のポイントを解説いたします。

4-3-1.鉄部とは

鉄部とは門扉や雨戸、手すり、金属製の階段など指します。鉄部にもコーティング(塗装)が施されています。鉄部の塗装に使われている塗料の多くはアクリル塗料で寿命が約5年程度であるため、立地条件により差はありますが5年ほどで表面のコーティング機能が低下してしまいます。

4-3-2.鉄部の劣化症状

鉄部の劣化といえば錆の発生による強度の低下です。一度発生すると進行が早く、触るとボロボロと崩れたり、剥がれ落ちたりします。更に劣化が進むと穴が開くこともあります。

4-3-3.鉄部の塗装・メンテナンス方法

ディスクサンダー、カップワイヤーと呼ばれる電動工具を用いたり、やすりやワイヤーブラシ、皮すきのような手工具を使ってケレン(錆、全塗膜の除去)を行い、光沢のある鉄面にしてから3回塗装(症状1同様)を行う。

施工時に一番大事な工程は「ケレン」

ケレン作業

鉄部塗装で一番大切なのが塗装前の錆を落とす作業である「ケレン」です。ケレン作業によって既存の錆を取らないと、いくら上から錆止め塗料を塗っても錆の進行は止まりません。業者へ鉄部の塗装を依頼する時はケレンをしっかりやってくれているかを確認しましょう。

4-3-4.鉄部にオススメの塗料

鉄部を塗装する際には下塗り材として防錆・防食塗料(錆止め塗料)を使用します。

錆止め塗料の現在の主流は、高性能でかつ、既存塗膜を選ばずよく付着する変性エポキシ樹脂系のものです。

■ 錆止め塗料の例

・エスケー化研株式会社/エポサビマイルド

・日本ペイント株式会社/1液ハイポンファインデクロ

・株式会社アステックペイント/サーモテックメタルプライマー

錆止め塗料の効果は?防錆塗料の種類・価格・効果を発揮させる方法

繰り返しになりますが、ケレン作業をしっかりおこなわないと、どんな性能の良い錆止め塗料を塗っても意味がありません。鉄部に錆止め塗料を塗布する場合はケレン作業で既存の錆をしっかり落とすことが肝要です。

4−4.木部を塗装する時のポイント

住宅には多くの木材が使用されています。木材を何も加工せずに住宅に使用すると水分に弱く、雨や紫外線、シロアリなどによって腐食します。

4-4-1.木部とは

ウッドデッキ

木部とは木材を使用したウッドデッキ、濡縁、破風板、軒天井、下見板などを指します。

4-4-2.木部の劣化症状

塗装が必要な劣化の症状としては

・木材の色が全体的に色あせ、グレー色になり、一部分が白くぼけはじめた

・木材が黒くなって、ヒビや割れが入っている

4-4-3.木部の塗装・メンテナンス方法

ウッドデッキの場合

①洗浄藻やカビ、その他汚れ等を洗浄します。高圧洗浄機を使用する場合は、木を傷つけないように注意して下さい。
また、木材が湿ったまま塗装をすると塗膜の剥離が起きてしまうので、十分に乾燥させましょう。
②下地処理造膜(着色)タイプの塗料が残っている場合、再塗装時に塗料がのりにくいので、サンダーで落とします。
研磨することで木材と塗料の密着が良くなるので、浸透タイプの塗料の場合でも研磨することをオススメします。
③養生塗料の飛散を防ぐ為、塗らない箇所をビニールやテープ(マスカー等)を貼って養生します。
④塗装木目に沿って均一に塗料を塗ります。

■既存塗膜に注意!

元々、木部に塗られていた塗料が造膜(着色)タイプの物の場合、上から浸透タイプの塗料を塗っても弾いてしまいます。その場合は、既存塗膜を完全に除去するなどの下地処理が必要になります。

■臭いに注意!

使用する塗料が油性の場合、独特の臭いがします。臭いに酔いやすい人や、小さなお子さん、ペットがいる場合は臭いの少ない塗料を選びましょう。

■後片付けに注意!

浸透タイプの塗料を含んだ新聞紙や、ぞうきんを放置すると自然発火を引き起こす場合があります。捨てる場合は、水を含ませ、可燃ごみとして処理をしましょう。

4-4-4.木部にオススメの塗料

木部を塗装する際に使用する塗料には、浸透タイプと造膜(着色)タイプの2種類があります。どちらにもそれぞれ特徴があるので、使用する際には欲しい効果に合せて選ぶと良いでしょう。

■浸透タイプの塗料

特徴・既存の木材に、しみこませるようにして使用する
・木目の質感を活かしたまま木部の保護ができる
メリット・剥がれや膨れが起きないので、作業性が安易でありDIYに向いている
デメリット・雨による吸水、乾燥に弱く短期スパンでの塗替えが必要
・木材の上に塗膜を作らないので、耐久性に劣る

■造膜(着色)タイプの塗料

特徴・既存の木材の上に、塗料で膜を形成して使用する
・合成樹脂塗料の場合、耐久性は使用する塗料の樹脂に左右される
・木材の上に、膜が張る為、木目などの木質は失われる
メリット・耐久性、撥水性が高い
デメリット・塗膜が割れやすく、すきまから雨水が浸入してくる可能性がある
・下地処理に手間が掛かり、施工不良による膨れや剥がれがおこりやすいのでDIYでは難しい

一般的に、造膜タイプの塗料の方が耐久性があります。ただし、木本来の質感を活かしたい人は浸透タイプの塗料を使用し、メンテナンスを3~5年スパンで定期的におこないましょう。

■質感を残したい人にオススメの塗料

キシラデコール

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画像出典:http://www.xyladecor.jp/

価格:8,510円(4リットル) 価格参照:amazon

キシラデコールは、木材を保護する成分が含まれた、木に優しい木部用塗料です。家庭用にも販売されている為、DIYで使用する時にも買いやすいです。

・サドリン

価格:8,640円(4リットル)  価格参照:amazon

サドリンは、ヨーロッパナンバーワンシェアを誇る木部用塗料です。防虫、防腐、防カビの効果があります。

■安全性に配慮したい人にオススメの塗料

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画像出典:http://www.osmo-edel.jp/lineup/osmocolor

価格:14,688円(2.5リットル)  価格参照:amazon

オスモカラーは、ひまわり油、大豆油、アザミ油など自然は由来の植物油を使った木部用塗料です。小さな子供やペットがいる方には直接皮膚に触れる木部に配慮をしたい方にオススメです。

5.信頼できる外壁塗装業者を見極める方法

外壁塗装を成功させるためには、“業者選び”は非常に重要です。

もしかすると、「どの業者に依頼しても変わらないだろう」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、それは違います。塗装業者によって知識にも技術にも、大きく差があるため、塗装工事を成功させるためには信頼できる塗装業者を見抜く必要があるのです。なぜ塗装業者によって知識や技術に差が生じてしまうかというと、塗装業者になるのに基準や資格等は必要なく、言ってしまえば、誰でも塗装業者になれてしまうためです。

豊富な知識や技術をもつ塗装業者を選ぶためには、業者を選ぶ際のポイントを押さえておくことが重要です。下記、順を追ってお伝えしてまいりますので、ぜひチェックしてみてください。

5−1.工事前の調査診断で見極める

塗装業者が実施する「調査診断」は、信頼できる塗装業者かどうかを見極める一つのチェックポイントとなります。

「調査診断」とは、実際に塗装業者が住まいを隅々までチェックし、劣化の状況をはじめ雨漏りのリスク、塗り替え時期の目安、必要な補修等を見立てることです。見積書も、この調査診断の結果をもとに作成します。つまり、塗装業者は、この建物診断をせずに見積書を作成することはできない、ということです。なかには、診断をせずに見積書を提示してくる業者も存在しますが、こうした業者は非常に疑わしいと言えます。

さらに、調査診断の担当者が専門知識をもった有資格者かどうかは、ぜひチェックしたいポイント。有資格者でなければ診断ができないというわけではありませんが、知識のない担当者が診断をした場合、割り出した結果が現状報告にしかなっていないことも少なくありません。こうした結果をもとに計画・実行した塗装工事が満足のいく仕上りになるわけがない、というのは想像に難くないでしょう。

専門資格外装劣化診断士(一般社団法人住宅保全推進協会の認定資格)
建築士

本サイト『外壁塗装ジャーナル』を運営するプロタイムズでも、無料診断を実施しています。詳しくは、こちらをご覧ください。

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5−2.見積書の内容で見極める

塗装業者を選ぶうえで、一番頼りになるのは、やはり見積書でしょう。見積書をしっかり比較・検討して、信頼できる塗装業者を選り抜いていきましょう。

見積書で見るべきポイントは、「①見積額」と「②見積書に記載されている内容」の大きく分けて2点です。


①見積額の妥当性をチェックする

妥当な見積額を提示してくれるかどうかというのは、当然ながら、業者を見極める一つの判断材料となります。

外壁塗装の費用相場は、ずばり80~150万円(一般的な2階建て住宅/塗り面積200㎡)です。

手元の見積額を見て、「全然違う!」と驚かれた方もいらっしゃるかもしれませんが、上記価格はあくまでの相場です。たとえば、お住まいの劣化症状や使用する塗料等によっても大きく変わるため、全然違うということも大いにあり得ます。

では、見積額の妥当性はどのように探れば良いかというと、塗装工事の総額ではなく、「塗料代」「足場代」「施工費(人件費)」それぞれの妥当性をチェックしていくのがオススメです。ちなみに、外壁塗装の見積り総額に占めるそれぞれの割合は、「塗料代」が約20%、「足場費用」が約20%、「工事費用(人件費)」が約30%、残30%が業者の利益となります。

外壁塗装の価格の内訳

「塗料代」「足場代」「施工費(人件費)」それぞれの費用の妥当性については、こちらの記事にてご確認ください。

外壁塗装の適正価格は?見積額の妥当性を見極める3ステップ


②見積書の内容をチェックする

「今回初めて塗装工事をする」という方にはピンとこないかもしれませんが、見積書の内容も、業者を見極める材料となります。

見るべきポイントは2つ。1つは「塗料代と施工費(人件費)がわけて記載されているか」、もう1つは「購入する塗料の缶数が、メーカーの規定量を満たしているか」です。詳細は下記をご覧ください。

☑塗料代と施工費(人件費)が分けて記載されている

塗料代と施工費(人件費)が別々に分けて記載されているかどうかをチェックしましょう。

塗料代と施工費(人件費)がいっしょに記載されている場合、どんな材料をどれだけ使用するのか、塗料代や施工費(人件費)はそれぞれいくらなのか、といった詳細な情報が曖昧となります。この曖昧さを利用して、本来は必要な塗料の料を間引くなどして、不当に利益を得ようとする心ない業者も存在します。

塗料代と施工費(人件費)がいっしょになっていても、妥当な内容となっている場合もありますので、塗料代と施工費(人件費)がいっしょに記載されている見積書を提示されたら、まずは、分けて再提示してもらえないか相談をしましょう。相談した際、適当に返答したり、曖昧にごまかしたりする業者には、なにか後ろ暗いことがあるのかもしれません。


☑購入する塗料の缶数が、メーカーの規定量を満たしている

外壁塗装に使用する塗料の量は、実は、塗料メーカーが「品質を担保するために、これだけ使ってください」と規定している量があります。そのため、見積書に記載されている塗料の量が、塗料メーカーの規定する塗料の量と相違ないことを調べることで、信頼のおける見積書であるかどうかがわかる、ということです。

見積書に記載されている塗料の量が、塗料メーカーの規定する塗料の量と相違ないかどうかは、下記の計算式を使って、自身でも調べることができます。

※塗装面積は見積書、塗料1缶あたりの重さ&塗布量は塗料のパンフレット等を参照ください。

 

▼見積りのチェック方法について詳しくは、こちらの記事も参考にしてください。

2020年版|外壁塗装の費用相場は?単価&見積りをプロが解説!

5−3.塗装後の保証体制で見極める

実は、塗装工事には新築工事とは異なり、保証に法的な義務はありません。そのため、その業者が塗装工事について、どれほど責任を負う覚悟があるかというのは、塗装業者を選ぶうえで、重要なポイントとなります

塗装業者に保証について確認をする際には、“保証があるかどうか”だけでなく、なにをどこまで保証してくれるのか“保証内容や保証体制”まで踏み込んでチェックしましょう。

また、保証内容を明記した保証書を発行してもらえるかどうかも確認しておくと安心です。いざ何らかの不具合が発生したときにも、口約束だけでは、言い訳をして対応してくれない場合などに身を守ることはできません。保証書の発行は絶対です。

▼保証体制について詳しくは、こちらの記事も参考にしてください。

外壁塗装の『保証』はトラブル回避の必須項目!

5−4.[補足]知っておくべき!悪徳業者の特徴&よくある手口

塗装業者を選ぶにあたり、知っておきたいのが「悪徳業者も存在する」ということです。

必要以上に恐れる必要はありませんが、一部存在する悪徳業者に騙されないために、悪徳業者の特徴やよくある手口は押さえておきましょう。

[悪徳業者の特徴&よくある手口]

特徴&よくある手口内容
所在地が曖昧所在地(本社・営業所・店舗などのその会社に関わる場所)が曖昧な業者には、注意が必要です。なぜならば、所在地が曖昧であるということは、いつでも連絡を絶って立ち去れる環境であるとも言えるからです。たとえば「詳細な住所を教えてもらえない」「住所がワンルームマンションになっている」などの業者には、疑いの目をもった方が良いかもしれません。
大幅値引き「半額!」「◎◎%」など、目を引くような大幅値引きを提示してくる業者には注意が必要です。知っておいていただきたいのは、そもそも”塗装工事は大幅値引きができる商品サービスではない”ということです。塗装工事は住まいを診断し、その住まいにあわせて見積りを算出するのが基本です。住まいごとに見積った額から、さらに大幅に値引くというのはおかしな話でしょう。

大幅値引きの裏で、使用すべき塗料の量を減らすことで材料費を下げていたり、本来は数日かかる工程を品質を下げ1日で終わらせることで人件費を抑えていたりと、消費者にはわからないように工事品質を下げている可能性も十分にあるのです。

追加工事塗装工事は、住まいの劣化状況等によって、工事がはじまってから、追加工事をする必要のあることが発覚することがあります。このことを逆手にとって、契約時には適正な見積額を提示しておき、契約後、工事がはじまってから「追加工事が必要になった」として追加料金を請求し、価格を吊り上げようとする悪徳業者も存在します。

この手口は、本当に追加工事が必要になったのか、はじめから騙そうとしていたのかの見極めが難しいため、非常にやっかいです。

騙されないためには、契約前に追加工事の可能性を業者に確認しておくことが有効です。さらに追加工事が発生した際にも、どういった工事をするのか、本当に必要な工事なのか、詳しく確認するようにしましょう。


▼業者選びについて詳しくは、こちらの記事も参考にしてください。

【塗装業者の見極め方】8つのステップで信頼できる業者を選ぼう!

6.外壁塗装をDIYでする方法と費用

DIYリフォーム

業者に頼むより安くできるため、外壁塗装を自分でやりたいという方も多いでしょう。この章では外壁塗装をDIYでする時に失敗しないために知っておきたいポイント、注意点などを解説いたします。

6−1.外壁塗装のDIYに必要な道具

外壁塗装をDIYでおこなう時に必要な道具は、塗料、刷毛、ローラー、マスカーなど様々あり、トータルでは約30万円~50万円で揃える事ができます。

品名備考目安の価格
塗料(ペンキ)下塗材30,000~50,000円前後
中塗材・上塗材100,000円~150,000円前後
足場設置平均的な2階戸建ての場合100,000円前後
マスカー養生に使用。幅2800mm、巻き長さ25m25,000円前後
シーリング材
コーキング材
目地の補修に使用。容量300ml以内1,000円以内
刷毛1本につき1,000以下~4,000円程度
ローラー1本につき1,000以下~4,000円程度
ヘルメット5,000~10,000円程度
安全帯8,000~15,000円程度

塗料は通常下塗り、中塗り、上塗りと3回塗ります。下塗りはシーラー、プライマー、フィラーなどと呼ばれる塗料を塗ります。これは、中塗り、上塗りする塗料と塗装する面の密着性を確保する役割があります。

必要物の中で金額が高いものに足場があります。足場はなんで必要なの?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、DIYでも必ず足場を設置して、安全に塗装ができる環境を作りましょう。はしごや脚立を使って、不安定なまま作業をするととても危険です。足場は必ず足場屋さんなどの専門家に設置をお願いしてください。

6−2.外壁塗装のDIYを成功させるポイント

6-2-1.スケジュールに余裕を持つ

どのくらいの時間がそれぞれの工程で掛かるかは個人差がありますが、ざっと見積もると約30日間が目安です。ただし、これは陽が明るい時間ずっと作業をして、1日も休みなく作業をした場合です。平日はお仕事もありますので、最低でも約3ヶ月間はみておいたほうがいいでしょう。

6-2-2.塗装する面の汚れをしっかり落とす

コケ・カビが残っていたりすると、せっかく塗料を塗ってもすぐに剥がれてしまいます。ブラシや高圧洗浄機を使用するなどして、塗装面の汚れはしっかり落としましょう。

6-2-3.ひび割れや劣化箇所は下地処理をおこなう

ひび割れが起きている場合は補修をおこなってから塗装を行いましょう。ひび割れは、合成樹脂または合成ゴム製ののり状の材料である「シーリング材」と呼ばれるもので補修をします。市販されているもので十分に補修できますが、様々な種類があります。ポリウレタン系か変性シリコーン系シーリング材を選びましょう。

目地材が劣化している場合は、ポリウレタン系か変性シリコーン系シーリング材で補修をします。古くなったシーリング材をカッターでそぎ落としてから、打ち替えることがポイントです。

6-2-4.中塗り・上塗りは塗り重ね乾燥時間を守る

下塗り後の中塗り、中塗り後の上塗り時に絶対に守らなければならないのが、塗り重ね乾燥時間です。塗料が完全に乾く前に重ね塗りをしてしまうと不具合の原因になる恐れがあります。塗料の説明書に記載されている塗り重ねの乾燥時間を必ず守りましょう。

6−3.DIYをする時に知っておきたい注意点

6-3-1.高所作業は落下に注意

プロの塗装職人でも落下事故が起きています。手が届かない高い箇所を塗る際に、慣れない作業で注意力が落ちバランスを崩して下に落下する可能性があります。ヘルメット・安全帯、足場も専門業者にお願いして、安全に対しては最大の準備をおこないましょう。

6-3-2.塗りムラ・色のイメージ違いなどが起こる可能性も

DIYで安さとの引き換えとしては、プロの技術、知識に及ばない点があります。技術の未熟さ、知識不足ゆえに工事の不具合が数年後に発生することもありえます。場所によって色が違っていた、イメージしていた色と大きく乖離してしまった、塗りムラが激しいなどです。

また、施工後すぐに塗料がはがれてきたなどのトラブルも考えられます。

6-3-3.スケジュールは遅れるものと考えておく

DIYの工事期間を約3ヶ月程度と見積もって、いざ工事に入ります。天候でスケジュールが伸びてしまうこともあります。その他にも仕事や病気などで予定した週末に作業できない、家族や友達と急な用事ができたなどいろんな要因で工事期間は長くなります。

予定通りに物事は進まないことは多いものですが、この期間中はずっと足場は組んだまま、養生用シートも設置されたままになります。日は差し込まず常に通常より「暗い」環境になることも、忘れないようにしましょう。

 

7.外壁塗装の色選びで失敗しない方法

外壁の色は自宅の表情を決める大きな要素です。万が一、気に入らない色で仕上がると約10年は我慢をしないといけない事態になります。ですから、満足のいく色を選ぶために色選びは大変重要な作業です。

7−1.イメージを言語化しよう

どんな雰囲気にしたいのか、イメージを言語化してみましょう。近隣のお家を見て参考にするのもオススメです。近隣に使われている色味を見ることで、色味のイメージが浮かんで来るでしょう。ご夫婦、ご家族で「こんな色がいいね」など共通の認識を持つことが大切です。

言語化にはこのようなチャートを使うとわかりやすいです。

7−2.色見本の種類と使い方

洋服や日用品を購入する時、実際に店頭に行き、実物の色を見て確認してから購入されることが多いと思います。ただ、外壁塗装では、実物を見て・・・とはなかなかいきません。
何度も塗り替えて、この色にしようかあの色にしようか、なんてことはできません。

そこで、外壁塗装をする際によく活用されるのが、色見本です。

色見本

色見本帳には大きく分けて2種類あります。

①塗料メーカーが作成している色見本帳

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各塗料メーカーが塗料ごとに発行している場合が多いので、提案されている塗料ごとに色を確認することができます。

【特徴】

 外壁や屋根などに使用されることの多い、その時代の主流の色を掲載していますので、メーカー発行のものを参考に色選びを進めることをお勧めいたします。

【こんな時・こんな人におすすめ】

・塗料の機能や価格にこだわりがあり、使用する塗料が決まっている人

・大まかな好みの色を調べたい時

【入手方法】

・担当営業の方へ依頼

・各種塗料メーカーへ直接問い合わせ

【注意点】

・使用する塗料によっては色が限られているものもあります。色見本帳に乗っていない色の場合、近似色(似ている色)での対応、もしくは同系色の別の色になる可能性があります。

②日本塗料工業会作成の色見本帳

日本塗料工業会が発行している色見本帳で、この色見本帳に記載されている色番号は日本共通のものとなります。

【特徴】 塗料メーカーがカタログ等に掲載していない色も載っている

【こんな時・こんな人におすすめ】

とことん色にこだわりたい!という方

【入手方法】

・担当営業の方へ依頼

・日本塗料工業会のサイトから購入(2,860円~)

Tools web shop(日本塗料工業会)

【注意点】

・掲載されている色の中には外壁の色には向いていない色や、塗った後に色あせのしやすい色なども掲載されています。

7−3.大きめの塗板でチェックしよう

色見本で色を決めたら大きめの塗板でチェックすることをオススメします。

色には目の錯覚により、同じ色であっても面積が変わることで色の明るさや鮮やかさ、色合いの感じ方が変わる「面積効果」というものがあります。
下の画像をご覧ください。

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小さな面積で見てもそれほど違いが気にならないですが、大きくすると・・・

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色の差がより強調されて違う印象を感じられたのではないでしょうか。

お家の外壁ともなると、かなりの面積を塗ることとなります。小さな色見本だけで色を決めてしまうと、いざ塗り終わった後に「あれ、こんな色だったかな」「こんなに派手な色だったかな」と仕上がりに満足できずトラブルの原因ともなります。

色を決める際には担当者の方と相談し、できる限り大きいサイズの色見本をもらうようにしましょう。

A4サイズの塗板(色見本)の例です。

さらに注意点として、見る時の場所が室内と屋外では見え方が大きく異なります。

下記は同じ色を室内の蛍光灯の元で撮影したもの(左)と、屋外の日光の元で撮影したもの(右)です。

色見本見え方比較

見え方がかなり違うのがわかると思います。

実際に塗料を塗るのは外ですので、外壁色のサンプルを見る際も室内だけではなく、屋外で晴れた日に見る様にしましょう。

※大きな色見本の作成は有料の場合もありますので、依頼される場合は事前に業者へお問い合わせください。

7−4.塗り替えシミュレーションを活用する

付帯部や屋根の色味を決定しましょう。まず我が家を外から眺めて、屋根、付帯部は外から見てどの程度見えるのか、付帯部で塗り替えをする場所はどこなのかを把握しましょう。最終的には自分の家のカラーシミュレーンを行うことがベストですが、まず見てみたいという方へWEBサイト上で手軽にできるカラーシミュレーションをご紹介します。

エスケー化研株式会社 「住宅塗り替えシミュレーション」
http://www.sk-kaken.co.jp/simulation/

関西ペイント株式会社 「カラーシミュレーション」
http://www.kansai.co.jp/repaint/index.html

日本ペイント株式会社 「カラーシミュレーション」
http://www.hanacole.com/simulation/index.html

カラーシミュレーションについてもっと知りたい方は下記の記事もご覧ください。

【外壁の試着】外壁のカラーシミュレーションをしてみよう!

7-5.人気の組み合わせランキング

外壁と屋根の色の組み合わせに悩んだら人気ランキングを参考にするのも手です。

上が屋根の色、下が外壁の色です。

第一位 【外壁】ブロークンホワイト×【屋根】キャビアブラウン

第二位 【外壁】ブロークンホワイト×【屋根】カーボングレー

第三位 【外壁】ガルグレー×【屋根】カーボングレー

第三位 【外壁】ミッドビスケット×【屋根】キャビアブラウン

第五位 【外壁】ペールビスケット×【屋根】ラセットブラウン

※株式会社アステックペイント出荷量データより算出。

7−6.色選びの参考事例

全国の外壁塗装の成功事例を50例紹介した記事です。理想のイメージと近い事例を見つけてください。

【50以上の事例付き】プロが教える外壁・屋根塗装を失敗しないための秘訣

8.外壁塗装の耐用年数・減価償却

8−1.外壁塗装の減価償却のしくみ

個人事業主の方や中小企業の方は、所有しているアパートやマンションなどの外壁塗装を行うことがありますよね。建物の規模が大きなものになると、外壁塗装は思いのほか費用がかかります。確定申告の際には外壁塗装工事を資本的支出として計上するか、修繕費として計上するかによって、申告方法や経費として扱える額も変わります。

8-1-1.外壁塗装の種類による確定申告項目の違い

外壁塗装をする際に、事業用の建物は確定申告が必要です。

確定申告をする際には、外壁塗装を「どのような目的で行うのか」ということによって申告項目が変わります。

ここでは、以下の二つの確定申告の項目についてご紹介します。

・耐久年数で経費を分割して計上する資本的支出

・経費を一気に計上する修繕費

それぞれの項目によって控除の方法が変わってくるので、外壁塗装の施工の際にはおさえておきたいポイントでもあります。

8-1-2.資本的支出と見なされる場合

資本的支出は、外壁塗装の費用を資産として計上した場合に勘定科目が建物となり、その支払いを減価償却の扱いで数年かけて経費に計上していく確定申告の項目です。

資本的支出とみなされるのは、塗装の目的が、建物そのものの価値を高めるため・外壁のデザインを変えるため、といった場合です。

資本的支出とみなされる外壁塗装は以下の通りです。

目的具体例
建物そのものの価値を高めるための塗装・外壁をより美しい色にする。・外壁を魅力的な色にする。

・もとの外壁の塗料よりも良い塗料で塗装する

・外壁の一部にタイルを貼る。

外壁のデザインを変える塗装・外壁を魅力的なデザインにする。・外壁を豪華な外観にする。
建物の耐久性を高めるための塗装・もとの外壁の塗料よりも耐久性の高い塗料で塗装する

8-1-3.修繕費と見なされる場合

修繕費は、外壁塗装の費用を一括で経費として計上する確定申告の項目です。
修繕費としてみなされるのは、塗装の目的が、建物の維持や回復のために修繕を行った等の場合です。
修繕費とみなされる外壁塗装は以下の通りです。

目的具体例
雨水の侵入を防ぐため外壁のひび割れや剥がれなどを補修する。
建物の景観を保つため色が落ちてきた部分や傷のついた部分を補修する。
災害で損失してしまった部分を補修するため外壁のひび割れや剥がれなどを補修する。

特に修繕費にあたる場合は、通常の維持管理である、もしくは建物の現状の回復であるということが大きなポイントです。

8−2.外壁塗装の減価償却における耐用年数

外壁塗装における償却期間については、原則は塗装する建物の耐用年数が適用されます。

8-2-1.建物の耐用年数

住宅・店舗(新築)耐用年数
鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)鉄筋コンクリート(RC)47年(住宅用)50年(事務所用)
金属造(骨格材の肉厚4㎜超)34年(住宅用)38年(事務所用)
金属造(骨格材の肉厚3㎜超4㎜以下)27年(住宅用)30年(事務所用)
木造モルタル20年(住宅用)22年(事務所用)

上記以外の建物の耐用年数が知りたいという方は、国税庁のホームページ

https://www.keisan.nta.go.jp/survey/publish/34255/faq/34311/faq_34354.php

で調べることができますので、ぜひご活用ください。

8-2-2.建物の一部が賃貸の場合

マンションなどの建物が多い中でよくあることですが、6階建ての建物で、1階が事務所でそれ以外の階は住居であるという場合があります。

この時、それぞれの用途に分けて別々の耐用年数を適用するのではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は1つの建物に適用できる耐用年数は1つなのです。(※例外を除く)

そこで、どのように建物の耐用年数を判断するのかというと、複数の用途に用いられている場合は、建物の主な用途における耐用年数を適応することになるのです。

6階建ての建物の1階が事務所、その他の部分が住宅という場合は、

・事務所(約17%)

・住宅(約83%)

となります。

このことから、この建物の耐用年数は住宅用の耐用年数を適用することになります。このような方法で、2つ以上の用途に用いられている建物の耐用年数を判断することができるのです。

しかし、1つの建物に適用できる耐用年数は1つということには例外があります。それは、建物の一部を劇場として使用するために、特別な内部構造にしているというような場合です。
この場合は、劇場の部分のみ、用途が劇場の場合の耐用年数を適用することになります。

8-2-3.新規事業のために購入した中古物件の外壁塗装の場合

新規事業を行うために、中古物件を購入し外壁塗装を行った場合は、外壁塗装の費用は取得価額と見なされるために修繕費ではなく、減価償却として処理することが可能です。

このように処理できるのは、所得税・法人税において、購入した減価償却資産の取得価額が

・当該資産の購入代価

・当該資産を事業の用に供するために直接要した費用

の合計額と規定されているためです。